リトープス(Lithops)は「生きた石」とも呼ばれる南アフリカ原産の多肉植物です。独特の姿と脱皮のサイクルで人気の高い植物ですが、日本の夏はリトープスにとって試練の季節です。本記事では、原産地の環境を踏まえたうえで、リトープスの夏場の適切な管理方法を詳しくご紹介します。

原産地・南アフリカの夏とは?
リトープスの原産地であるナミビアや南アフリカの内陸部では、以下のような気候が特徴です。
- 非常に乾燥している(年間降水量は100~300mmほど)
- 昼夜の寒暖差が激しい
- 日中は高温になるが、風が強く通気性がある
- 夏はほぼ完全に雨が降らない時期(休眠期)
つまり、「強い日差しと乾燥に耐えるが、水分がほとんどない環境」で夏を過ごしています。
日本の夏とのギャップ
一方、日本の夏は以下のような環境です。
条件 | 日本の夏 | 原産地の夏(南アフリカ) |
---|---|---|
気温 | 高い(30〜35℃) | 高い(30〜40℃) |
湿度 | 高湿(70%以上) | 極端な乾燥(20〜30%) |
雨の頻度 | 多い(梅雨〜台風) | ほとんどなし |
通気性 | 蒸し暑く風が少ない | 風通し良い |
この違いから、日本の夏はリトープスにとって非常に過酷です。

夏の管理ポイント
1. 直射日光は遮光して管理する
リトープスは日光を好みますが、日本の真夏の直射日光は葉焼けの原因になります。
- 遮光ネット(30〜50%程度)を使用
- 南向きの窓際でカーテン越しの光がベスト
- 屋外で管理する場合は午前中のみの日光にとどめ、午後は日陰へ
2. 水やりは基本的に断水
原産地でも夏は「乾季」で水分はほぼゼロ。日本でも水やりはストップします。
- 土が完全に乾いた状態を保つ
- 蒸れ・根腐れを防ぐために土の中も乾燥していることが重要
- 葉がしぼむようなら、朝か夕方の涼しい時間に少量与える程度
3. 通気性を確保する
原産地では風が吹き抜けて地面がすぐ乾きますが、日本の室内やベランダは蒸れがちです。
- 風通しの良い場所に置く
- 扇風機を弱く当てるのも有効
- 風が通らない場所では腐りやすい
4. 高温多湿を避ける
鉢内の温度が上がりすぎると根が煮えてしまいます。
- 鉢は素焼きなど通気性のある素材が理想
- コンクリートやベランダ直置きは避け、棚や台の上で管理
- 室内ならエアコンの風が直接当たらない涼しい場所へ移動
夏は「休眠期」だと意識する
リトープスにとって夏は**成長を止める「休眠期」**です。無理に水を与えたり、環境を変えすぎるとかえってダメージを与えることになります。
やってはいけないこと
- 「暑いから」と頻繁に水を与える
- 毎日鉢を移動して光環境を変える
- 蒸し暑い室内に閉じ込める
夏越しのチェックリスト
・鉢は風通しの良い場所にあるか?
・土はカラカラに乾いているか?
・葉にシワが寄っていないか確認(脱水症状のサイン)
・遮光対策はされているか?
夏を乗り切った後は?
秋の気温が下がる頃(9月中旬〜10月)は、再び活動を始める時期。新芽が見え始めたり、花芽をつけることもあります。
- 秋からは少しずつ水やりを再開
- 成長が始まるので日当たりの良い場所に戻す
まとめ
管理項目 | 夏の対応 |
---|---|
日当たり | 遮光(直射日光を避ける) |
水やり | 断水(完全に乾かす) |
置き場所 | 通風良好で涼しい場所 |
鉢と土 | 素焼き鉢+水はけの良い土 |
日本の蒸し暑い夏を乗り切れば、リトープスは秋からまた元気に成長します。原産地の自然をイメージして、「乾かす」「我慢する」を意識した管理が成功のカギです。