1. はじめに
家庭菜園を始める際、植物の選び方は非常に重要です。多くの人が野菜やハーブを育てますが、花も加えることで庭に彩りと楽しさをもたらすことができます。その中でも、マリーゴールドは特に人気のある花です。

マリーゴールドは、鮮やかな黄色やオレンジ色の花が特徴的で、家庭菜園に美しいアクセントを加えます。それだけではなく、マリーゴールドは害虫を寄せ付けにくいという特性があり、コンパニオンプランツ(他の植物と一緒に育てると互いに良い影響を与える植物)としても利用されています。さらに、丈夫で育てやすく、初心者でも簡単に栽培できることから、家庭菜園を始めたばかりの方にも最適です。
本記事では、マリーゴールドの栽培方法から、その魅力まで詳しく紹介していきます。ぜひ、家庭菜園に取り入れて楽しんでください。
2. マリーゴールドの種類と選び方
マリーゴールドにはいくつかの種類があり、用途や好みによって選ぶことができます。大きく分けて一年草と多年草の2つに分類され、それぞれに異なる特徴があります。
一年草のマリーゴールド
一年草のマリーゴールドは、その名の通り、一年で成長し、花を咲かせ、種を残して枯れてしまいます。しかし、手軽に種から育てることができ、初心者におすすめです。一般的に、1シーズンでたくさんの花を咲かせるため、夏の庭を鮮やかに彩ります。代表的な一年草のマリーゴールドには、以下のものがあります。
- フレンチマリーゴールド: 小ぶりで鮮やかな花が特徴。コンパニオンプランツとしてよく利用され、トマトやナスなどの野菜と相性が良い。
- アフリカンマリーゴールド: 大きな花を咲かせる品種で、背丈も高くなります。庭の背景としても映えるため、景観を楽しむのに最適です。
多年草のマリーゴールド
多年草のマリーゴールドは、毎年再び芽を出し、花を咲かせる特徴があります。多年にわたって楽しむことができるため、長期的にガーデニングを楽しみたい人におすすめです。ただし、寒冷地では越冬が難しい場合があるため、地域の気候に応じた管理が必要です。
- レモンマリーゴールド: 柑橘系の香りがする品種で、花も小さめですが長期間咲き続けます。食用として利用することもできます。
品種の選び方
マリーゴールドを選ぶ際は、以下のポイントに注目すると良いです。
- 花のサイズや色: 庭のデザインや好みに合わせて、花の大きさや色を選びましょう。小ぶりなフレンチマリーゴールドは控えめで可愛らしく、大きなアフリカンマリーゴールドは存在感があります。
- 栽培目的: コンパニオンプランツとして利用する場合、害虫避けに効果的なフレンチマリーゴールドが人気です。一方、単純に観賞用として育てたい場合は、アフリカンマリーゴールドのように大きく華やかな品種が向いています。
3. マリーゴールドの栽培に適した環境
マリーゴールドは栽培が簡単で、比較的さまざまな環境に適応しますが、より健康で美しい花を咲かせるためには、いくつかの基本的な条件を整えることが大切です。

日当たり
マリーゴールドは日光を好む植物です。できるだけ日当たりの良い場所で育てると、花付きが良く、健康に育ちます。日光を6~8時間以上確保できる場所が理想的です。半日陰でも育ちますが、花が少なくなることがあるので、可能な限り明るい場所を選びましょう。
土壌の条件
マリーゴールドは水はけの良い土壌を好みます。湿気が多すぎると根腐れを起こすため、特に鉢植えの場合は、底に排水用の穴がしっかりある鉢を使用しましょう。もし庭で栽培する場合は、土壌に腐葉土や堆肥を混ぜ込み、栄養分が豊富で通気性の良い状態にしておくとよいです。
理想的な土壌のpH値は6.0〜7.0の弱酸性から中性です。通常のガーデニング用土で十分ですが、栽培前に土を改良することで、より活発な成長が期待できます。
温度と気候
マリーゴールドは温暖な気候を好む植物です。発芽に適した温度は15〜25℃で、寒さに弱いため、霜が降りる地域では霜のリスクがなくなってから植え付けを開始するのが重要です。もし寒冷地で育てる場合は、種まきや苗の植え付けを春先の暖かくなった時期に行うか、室内で育苗しておくのが良いでしょう。
暑さには比較的強く、真夏の高温でも育てることができます。ただし、夏場の水切れには注意が必要です。乾燥しすぎると成長が止まることがあるので、水分補給に気を配ることが大切です。
4. 種まき・苗の植え付け方法
マリーゴールドは、種から育てる方法と苗を購入して植え付ける方法のどちらでも栽培が可能です。どちらの方法も比較的簡単ですが、手軽さや育成スピードの違いがあるので、目的に応じて選びましょう。
種から育てる方法
種から育てる場合、好きな品種を選んで一から育成を楽しむことができます。以下に、種まきの基本的なステップを紹介します。
- 種まきの時期: マリーゴールドの発芽には15〜25℃程度の温暖な環境が必要です。屋外で直接種をまく場合は、春の霜が降りなくなった時期(4月~5月)が適しています。室内で育苗する場合は、霜が降りる時期を避けて、2月下旬から3月に種をまくことができます。
- 種まきの手順:
- 種まき用のトレーやポットに、水はけの良い培養土を準備します。
- 種はあまり深く埋めず、1cmほどの深さにまいて、軽く土をかぶせます。
- 土が乾かないように、適度に霧吹きなどで水やりをします。
- 発芽の管理:
- 種まき後、温かく日当たりの良い場所に置きます。温度が一定に保たれる場所であれば、約1〜2週間で発芽します。
- 発芽したら、徒長(茎が細長く伸びすぎる現象)を防ぐため、日光をしっかり当て、成長を促しましょう。
- 間引きと植え替え:
- 発芽後、ある程度成長して葉が3〜4枚になったら、間引きをして強い苗を残します。
- 苗が成長してからは、本葉が5〜6枚になった時点で、鉢や庭に植え替えることができます。植え替えは、晴れた日の午前中や夕方に行うと良いでしょう。

苗を植え付ける方法
すぐに花を楽しみたい場合や、初心者の方には、苗を購入して植え付ける方法が手軽でおすすめです。
- 苗の選び方:
- 園芸店やホームセンターで苗を購入する際は、しっかりと根が張っていて元気な苗を選びましょう。茎が丈夫で、葉に傷や変色がない苗が良い兆候です。
- 植え付けのタイミング:
- 苗を植え付けるのも、霜が降りる心配がなくなった4月~5月頃が適しています。鉢や花壇に植え付ける際、根が詰まらないように、**適度な間隔(20〜30cm程度)**を空けて植えるのがポイントです。
- 植え付けの方法:
- まず、植え付ける場所の土をよく耕し、腐葉土や堆肥を混ぜて栄養を与えておきます。
- 苗をポットから慎重に取り出し、根鉢を崩さないように注意しながら、穴に植えます。植え付け後は、たっぷりと水を与え、根をしっかりと土に定着させましょう。
5. マリーゴールドの手入れ方法
マリーゴールドは比較的手がかからない植物ですが、元気に育てて美しい花を長期間楽しむためには、適切な手入れが欠かせません。ここでは、基本的な水やり、肥料の与え方、そして病害虫対策について解説します。
水やりの頻度
マリーゴールドは乾燥には比較的強いですが、適度な水分を保つことが大切です。
- 地植えの場合: 庭で育てる場合、通常は自然の降雨で十分ですが、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えることを心がけます。特に夏場は乾燥しやすいため、週に1〜2回程度の水やりが理想です。
- 鉢植えの場合: 鉢植えでは土が乾燥しやすいため、土の表面が乾いたらこまめに水をあげるようにします。水を与える際は、鉢の底から水が流れるまでしっかりと水を与えるのがポイントです。ただし、根腐れを防ぐために水はけが良い鉢を使うことが重要です。
肥料の与え方
マリーゴールドは栄養を過剰に必要としないため、肥料を与えすぎると逆に花付きが悪くなることがあります。しかし、適度に肥料を与えることで花が一層鮮やかになります。
- 植え付け時: 事前に土に堆肥や腐葉土を混ぜておくと、栄養分が長く持続し、植物が元気に育ちます。
- 成長期: 追加の肥料として、緩効性肥料を2〜3週間に一度、または液体肥料を月に1回程度与えると良いです。特に、開花が始まる前の成長期には少量の肥料を与えることで、花がより豊かに咲きます。
病害虫対策
マリーゴールドは強健で病害虫に対して強い植物として知られていますが、それでも注意しておくべき害虫や病気があります。
- アブラムシ: マリーゴールドに付きやすい代表的な害虫がアブラムシです。葉の裏や新芽に集まり、植物の成長を妨げます。アブラムシを発見したら、手で摘み取るか、水をかけて落とすのが簡単な対処法です。場合によっては家庭用の殺虫剤を使用することも検討しましょう。
- ウドンコ病: 白い粉が葉や茎に付着する病気で、湿気の多い環境で発生しやすいです。これを予防するためには、風通しの良い場所で育てることが重要です。もし発生した場合は、病気の部分を切り取るか、専用の殺菌剤を使って対処しましょう。
- 根腐れ: 過剰な水やりや排水の悪い土壌で栽培していると、根が腐ることがあります。水はけを良くし、土の乾燥具合を確認してから水を与えることで予防できます。
枯れた花の摘み取り(デッドヘディング)
花が咲き終わったら、枯れた花をこまめに摘み取ることが、次の花を咲かせるためのポイントです。これを行うことで、栄養が新しい花に集中し、より長く美しい花を楽しむことができます。

6. 収穫と利用方法
マリーゴールドは主に観賞用として育てられることが多いですが、花が咲いた後の楽しみ方や、マリーゴールドを使った実用的な利用方法もいくつかあります。花を収穫してからのアレンジ方法や、食用・薬用としての利用も可能です。
花を楽しむタイミング
マリーゴールドは初夏から秋にかけて次々に花を咲かせます。花が満開になったら花を収穫して室内で飾るのも一つの楽しみ方です。切り花として使う場合、朝早くに切るのが最適です。この時間帯は、花や茎が最も水分を含んでいて、長持ちしやすいです。
また、マリーゴールドは枯れるまで次々に花を咲かせるため、咲き終わった花をこまめに摘み取る(デッドヘディング)ことで、より多くの花を長期間楽しむことができます。
食用としての利用
意外かもしれませんが、一部のマリーゴールドの花は食用に利用できる品種もあります。特にフレンチマリーゴールドやレモンマリーゴールドなど、風味がある品種は料理に彩りや香りを加えるために使われることがあります。
- サラダやスープ: マリーゴールドの花びらは鮮やかな色彩を持っており、サラダのトッピングやスープの飾りとしても人気です。味はほのかにスパイシーで、料理にアクセントを加えます。
- ハーブティー: 特にレモンマリーゴールドは、柑橘系の香りを持つため、ハーブティーとしても楽しむことができます。乾燥させた花びらをお湯に入れて抽出し、リラックス効果や消化促進の効果を得られます。
アロマ効果と美容利用
マリーゴールドは、香りや成分からアロマ効果を持ち、リラックス作用が期待されます。特にレモンマリーゴールドの爽やかな香りは、アロマオイルやポプリとしても利用されることが多いです。また、マリーゴールドは肌に優しい成分を含んでいるため、スキンケア製品やハーブバスとして使用することもあります。
ドライフラワーとしての利用
花を楽しんだ後は、マリーゴールドをドライフラワーにして長く楽しむことができます。ドライフラワーにするには、満開の花を切り、風通しの良い場所で逆さに吊るして乾燥させます。これにより、インテリアとして長く花を楽しめますし、ポプリやリース作りにも活用できます。
7. まとめ
マリーゴールドは、鮮やかな花色や育てやすさだけでなく、家庭菜園において多くのメリットをもたらす素晴らしい植物です。花を咲かせて楽しむだけでなく、害虫避けや土壌改善、コンパニオンプランツとしても活用できるため、菜園全体の健康を促進します。
栽培自体も比較的簡単で、日当たりの良い場所と適度な水やりを心がければ、初心者でも気軽に育てることができます。さらに、食用やハーブティー、アロマとしての利用方法もあり、日常生活に取り入れることができるのも魅力の一つです。
マリーゴールドを植えることで、花を楽しみつつ、菜園全体を守り、環境に優しい家庭菜園を実現できます。この機会に、ぜひマリーゴールドを取り入れ、彩り豊かな家庭菜園を楽しんでみてください。