
1. はじめに
家庭菜園で育てるサツマイモは、美味しさと栄養価の高さから多くの家庭で人気があります。
サツマイモはビタミンCや食物繊維が豊富で、ヘルシーな食材として知られています。
自家栽培することで、農薬や化学肥料を使わずに安心して食べられるのも大きなメリットです。
また、サツマイモの栽培は比較的簡単で、初心者でも成功しやすい作物の一つです。
成長が早く、適切な環境さえ整えば豊富な収穫が期待できます。
この記事では、サツマイモ栽培の基本から収穫までの手順を詳しく解説し、家庭菜園を楽しむためのポイントをご紹介します。
2. 栽培の準備
適した場所と土壌の選び方
サツマイモは、日当たりの良い場所でよく育ちます。日照時間が長ければ長いほど、甘みのある美味しいサツマイモが収穫できます。

風通しも良い場所を選びましょう。湿気がこもると病気になりやすいため、風が適度に通ることが重要です。
土壌については、サツマイモは砂質土壌を好みます。水はけが良い土がベストです。
粘土質の土壌では根が窒息しやすいため、畑の土を改良するか、鉢植えで育てる場合は砂質の培養土を使用しましょう。
また、酸性土壌を好むため、土壌のpHは5.5〜6.5が適しています。
種芋の準備と選び方
種芋は健康で病気にかかっていないものを選びます。市販の種芋を購入するか、前年度に収穫したサツマイモを使用することもできます。
市販の種芋は、発芽率が高く、病気のリスクも少ないため、初心者には特におすすめです。
種芋の準備には、「育苗」が必要です。まず、種芋を切り分けてから水に浸して発芽させます。
切り分けた種芋は、一晩水につけてから湿った新聞紙に包み、温かい場所に置いておくと数日で芽が出てきます。
芽がしっかり出たら、土に植え付ける準備が整います。
3. 植え付け
植え付けの時期と方法
サツマイモの植え付け時期は、地域によって異なりますが、一般的には5月から6月が適しています。
気温が15℃以上になり、霜の心配がなくなった頃が最適です。
サツマイモは温暖な気候を好むため、寒冷地ではビニールトンネルなどを利用して地温を確保する方法もあります。

植え付け手順
- 畝作り: まず、畑に畝(うね)を作ります。畝の幅は60〜90cm、高さは30cm程度が目安です。これにより、水はけが良くなり、根がしっかり伸びます。
- 植え穴の準備: 畝の上に30cm間隔で植え穴を掘ります。穴の深さは10cm程度で十分です。
- 苗の植え付け: 発芽した種芋を植え穴に植えます。芽が上を向くようにして、根がしっかりと土に埋まるようにします。植え付けた後は、周囲の土を軽く押さえて固定します。
植え付け後の初期管理
植え付け後の初期管理が、サツマイモの成長に大きく影響します。特に以下のポイントに注意してください。
- 水やり: 植え付け直後は、水分が重要です。乾燥しやすい時期には、朝夕にたっぷりと水をやります。ただし、過湿になると根腐れの原因になるため、土が湿りすぎないように注意が必要です。
- 雑草の管理: 雑草は、サツマイモの成長を妨げる要因になります。植え付け後1ヶ月間は特に雑草が生えやすいので、定期的に取り除きます。マルチングを利用することで、雑草の発生を抑えることができます。
4. 栽培の管理
水やりと肥料の与え方
サツマイモの栽培において、適切な水やりと肥料の管理は非常に重要です。成長期の水やりと肥料の与え方について詳しく見ていきましょう。
水やりのポイント
サツマイモは乾燥に強い作物ですが、成長初期は適度な水分が必要です。植え付け後の1ヶ月間は、土の表面が乾いたら水をやります。特に、芽が出始めるまでは土の湿り気を保つことが大切です。成長が進むにつれて、根が深く張るので、水やりの頻度を減らしていきます。目安として、土の表面が乾いた状態を保つようにし、過剰な水やりは避けましょう。
肥料の与え方
サツマイモは肥料分が多すぎると、葉ばかりが茂って肝心の芋が太りにくくなります。元肥として、堆肥や有機肥料を適量施します。具体的には、植え付けの2週間前に畝に混ぜ込みます。
追肥は成長の節目で行います。植え付けから1ヶ月後、そして成長が見られた頃に、窒素分の少ない肥料(例えば、骨粉や燐酸カリ)を施します。窒素が多いとつるが伸びすぎてしまうので注意が必要です。
病害虫対策
サツマイモは比較的病害虫に強い作物ですが、いくつか注意すべき点があります。主な病害虫とその対策について説明します。
主な病害虫
サツマイモノメイガ: 葉や茎にトンネルを作り、成長を妨げる害虫です。予防策として、こまめな観察と初期発見が重要です。見つけ次第、手で取り除くか、適切な農薬を使用します。
病気の対策
サツマイモに発生する主な病気には、以下のものがあります。
- 黒斑病: 葉に黒い斑点が現れる病気です。風通しを良くし、過湿を避けることで予防します。また、発病した葉は早めに取り除きます。
- 茎疫病: 茎が腐る病気です。これも過湿が原因で発生するため、水はけの良い土壌作りが重要です。発病した部分は速やかに取り除き、土壌消毒を行います。

5. 収穫と保存
収穫のタイミングと方法
サツマイモの収穫時期は、植え付けから約120〜150日後が目安です。
葉が黄色くなり始めた頃が収穫のサインです。収穫時期が近づいたら、以下のポイントに注意して収穫を行います。
収穫のタイミング
- 葉の色を確認: 葉が黄色く変色し始めたら収穫時期です。これは芋が成熟しているサインです。
- 天候を確認: 収穫は晴れた日を選びましょう。湿気の多い日は芋が傷みやすいため、乾燥した日が理想です。
収穫の方法
- 周囲の土を掘る: まず、芋の周りの土をスコップや鍬を使って丁寧に掘ります。芋を傷つけないように注意が必要です。
- 芋を引き抜く: 土を掘り起こしたら、芋の根元を持ってゆっくりと引き抜きます。大きな芋を傷つけないように丁寧に扱いましょう。
- 土を落とす: 収穫した芋は、表面の土を軽く落とします。ゴシゴシと擦らず、優しく土を払います。
収穫後の保存方法と注意点
収穫後のサツマイモは、適切な保存方法を守ることで長く楽しむことができます。以下の手順で保存を行いましょう。
保存の手順
- 乾燥: 収穫後、まずは芋を1週間ほど乾燥させます。風通しの良い日陰で、湿度が高くならないように注意します。この乾燥期間中に皮が硬くなり、保存性が高まります。
- 冷暗所での保存: 乾燥が終わったら、サツマイモを新聞紙などで包み、冷暗所に保管します。理想的な保存温度は13〜15℃です。冷蔵庫での保存は低温障害を引き起こすため避けましょう。
注意点
- 傷を避ける: 保存する際、芋に傷があると腐敗しやすくなります。傷ついた芋は早めに食べるか、別途料理に利用するようにします。
- 適切な温度管理: 保存温度が高すぎると発芽し、低すぎると低温障害を引き起こします。適温を保つことが長期保存のポイントです。

6. まとめ
サツマイモ栽培の成功は、適切な準備と管理にかかっています。これまでの章で紹介したポイントを振り返りながら、家庭菜園を楽しむためのコツをまとめます。
サツマイモ栽培のポイントの復習
- 適した場所と土壌の選び方:
- 日当たりが良く、風通しの良い場所。
- 水はけの良い砂質土壌を選び、pHは5.5〜6.5が理想的。
- 日当たりが良く、風通しの良い場所。
- 種芋の準備と選び方:
- 健康な種芋を選び、発芽させるために水に浸してから湿った新聞紙に包む。
- 健康な種芋を選び、発芽させるために水に浸してから湿った新聞紙に包む。
- 植え付け:
- 植え付け時期は5月から6月。
- 畝を作り、30cm間隔で植え穴を掘り、芽が上を向くように植える。
- 植え付け時期は5月から6月。
- 栽培の管理:
- 適度な水やりを行い、過湿を避ける。
- 肥料は元肥と追肥をバランスよく与える。
- 病害虫対策をしっかり行う。
- 適度な水やりを行い、過湿を避ける。
- 収穫と保存:
- 植え付けから4〜5ヶ月後、つるが枯れ始めたら収穫。
- 収穫後は日陰で乾燥させ、適切な温度と湿度で保存。
- 植え付けから4〜5ヶ月後、つるが枯れ始めたら収穫。